–GRAPH 3D

Blenderで作った服をDAZ Studioで使えるようにする

使用バージョン
DAZ Studio : 4.12
Blender: 2.82

現在 Booth で JK の制服や下着などの 3D モデルを販売しているのですが、これらを「DAZ Studio にインポートして自分のキャラクターにフィットさせることはできるのか?」という質問をたくさん頂いたので、そのやり方を紹介したいと思います。

もちろん僕が販売している 3Dモデルだけでなく、他のモデルでも同様に作業すれば DAZ Studio にインポートすることができるので試してみてください。

大まかな作業の流れ

具体的な作業のやり方は後ほど詳しく紹介しますが、まずは大まかにどんな作業をするのかを紹介します。

1. フィギアのサイズに服のサイズをあわせる

DAZ Studio 用に作られていない服の 3Dモデルは、大きさもバラバラですからそのままでは DAZ Studio のフィギアにフィットしません。 なので DAZ Studio のフィギアをガイドにして、服を拡大縮小・変形させてフィギアにフィットさせます。 この作業は Blender で行います。

DAZ Studioにインポートして服をフィギア化する

Blender でサイズを合わせた服を DAZ Studio にインポートします。 インポートしただけではただの「置物」なので、服として機能させるために「フィギア化」します。

フィギア化というのは、服にボーンを入れてウェイトをつけるということ。 フィギア化するとフィギアのポーズ・動きに連動して服も同じポーズ・動きをとるようになります。

DAZ Studio には「Transfer Utility」という自動でフィギア化する機能 ( フィギアのボーンやウェイトを転送する機能 ) があるので、作業自体は簡単です。

サーフェス ( マテリアル ) を調整して一旦完成

インポートした服にはテクスチャなどのサーフェス ( マテリアル ) が適用されていないので、手作業で調整します。

これで一旦完成となります。 一旦としたのは、さらにウェイト調整や JCM を編集してクオリティを上げることもできるからです。

それでは具体的な作業を順番に紹介します。

作業1: DAZ Studioからフィギアをエクスポート

まずは服をフィギアのサイズに合わせるために、DAZ Studio からフィギアをエクスポートします。 DAZ Studio を起動して、服を着せたいフィギアをシーンに配置します。 今回は Vivy というフィギアをベースにして作業を進めたいと思います。

DAZ Studio では表示されているオブジェクトがすべてエクスポートされるので、フィギア本体以外のオブジェクト ( まつ毛や眉毛など ) を非表示にしておきます。 まぁガイドとしてエクスポートするだけなので、まつ毛などがあっても問題ないのですが …。

次にフィギアのポリゴンの解像度を本来の解像度である「Base」にします。 Parameters ペインの Mesh Resolution、Resolution Level を Base に変更します。

これでエクスポート ( 書き出し ) の準備ができました。 [File] → [Export] から .obj として書き出します。

下記のような OBJ Export Options ウインドウが開いたら、Scale ( スケール ) と Axis Conversion ( 座標軸 ) を変更します。

DAZ Studio のフィギアはとても巨大なので、Blender で編集する場合は Scale を 1% にします。 DAZ Studio から 1% で書き出したフィギアの寸法は実寸に近くなります

Blender にインポートしたところ。高さが 1m 77cm と実寸になります

また DAZ Studio と Blender では座標軸の Y 方向と Z 方向が逆になっています。

DAZ Studio の座標軸。Y が上、Z が前
Blender の座標軸。Z が上、-Y が前

ですのでエクスポートするときに座標軸を入れ替えたい気持ちになるのですが、ここは左から X、Y、Z のまま書き出せば OK です。

座標軸は左から X、Y、Z の順番

ここまでのまとめ

  • DAZ Studio でフィギア本体以外を非表示にする
  • フィギアの解像度を「Base」にする
  • [File]→[Export] から .obj としてエクスポートする
  • エクスポートするとき Scale は「1%」座標軸は「X、Y、Z」の順にする

作業2:フィギアをBlender にインポートする

ここからは Blender での作業になります。 まずは服の 3Dモデルのファイルを開きます。 今回は「JKブラウス・スカート・リボン 3点セット」を用意しました。

DAZ Studio からエクスポートしたフィギアのインポートは、[ファイル] → [インポート] → [Wavefront(.obj)]から行います。

すると下記のようなウインドウが開きます。

トランスフォームで「-Zが前方」「Yが上」になっているのを確認して「OBJをインポートボタン」を押します。

すると上記のように服と同じ向きでフィギアがインポートされます。

ここまでのまとめ

  • Blender で [ファイル] → [インポート] → [Wavefront(.obj)] でインポート
  • トランスフォームは「-Zが前方」「Yが上」にする

作業3:服をフィギアにフィットさせる

ここからは服をフィギアに合わせて変形させる作業に移ります。 できるだけ初心者の人でも操作できるように説明していきますが、Blender の基本操作はできる人を対象にしていますのでご了承ください。

オブジェクトモードで大雑把にサイズ・位置を合わせる

まずはオブジェクトモードで拡大縮小移動などを使って、大体のサイズと位置を合わせます。

フィギアに対して服が若干小さいので少し拡大します。

ショートカット「S」キーを押すと拡大縮小することができるので、ドラッグしてサイズを合わせます。 また拡大縮小のショートカットキーは、他に下記のようなものがあります。

S X X 軸のみ拡大縮小
S Y Y 軸のみ拡大縮小
S Z Z 軸のみ拡大縮小
S Shift + X X 軸以外で拡大縮小
S Shift + Y Y 軸以外で拡大縮小
S Shift + Z Z 軸以外で拡大縮小

移動させたい場合はショートカット「G」キーが便利です。 G キーを使うと自由に動かせますが、下記のショートカットキーを使うと特定軸で移動させることができます。

G X X 軸方向に移動
G Y Y 軸方向に移動
G Z Z 軸方向に移動
G Shift + X X 軸以外で移動
G Shift + Y Y 軸以外で移動
G Shift + Z Z 軸以外で移動

これらを使用しておおよそのサイズや位置を合わせます。

上記はブラウス、スカート、リボンをそれぞれ拡大縮小してフィギアに合わせた状態です。 一見するとこれで良さそうなのですが、後ろ側をみるとフィギアがブラウスを貫通しています。

次は「編集モード」でこれらを修正していきます。

編集モードで服を修正する

ここからの作業は「編集モード」で行います。 編集モードで作業する前に、注意したいことがあるので先にチェックしておきます。

重要: シェイプキーがある場合は必ず Basis を編集する

シェイプキーというのは DAZ Studio でいう「モーフ」のことです。 今回編集しているブラウスは、第一ボタンを開閉するシェイプキーがあります。

シェイプキーの有無を調べるには「オブジェクトデータプロパティ」を開きます。

ここにある「シェイプキー」に何らかのシェイプキーが存在する場合は、シェイプキー付きのオブジェクトになります。 なにもシェイプキーがない場合は、シェイプキーなしのオブジェクトになります。

もしシェイプキー付きのオブジェクトを編集モードで編集する場合は、下記の図のようにすべてのシェイプキーをクリア状態「0.000」にしておき、一番上のシェイプキー ( 下記の図では Basis ) を選択した状態で編集モードにします。

一番上のシェイプキー「Basis」は、そのオブジェクトの基本形になります。 それ以外のシェイプキーは基本形から変形するモーフなので、基本形である Basis を編集するようにします。

なお「3Dモデル JKブラウス・スカート・リボン 3点セット」で販売している JKブラウスには、前述の第一ボタンの開閉シェイプキーがついています ( Blender ファイルで動作 ) が、スカート、リボンにはシェイプキーは設定していません。


それでは編集モードでの編集に移ります。 ポリゴンの編集の仕方はいろいろあるのですべてを紹介することはできませんが、比較的簡単にできるプロポーショナル変形を使ったやり方を紹介します。

まずはマニピュレーターを表示した方が作業しやすいので、Shift + Space キー から「移動」を選択します。 Shift + Space キーからツールを選択すると、上図のようにマニュピレーターが表示されるので、各軸に沿った移動がしやすくなります。

座標系は「ノーマル」に設定しておきます。 ノーマルにするとポリゴンの面の向きを基準にして移動させることができます。 逆に「グローバル」にすると面の向きに関係なく垂直、水平、前後(グローバルな X、Y、Z 軸 )で移動させることができます。

最後にプロポーショナル変形 ( ショートカットキー O ) をオンにしておきます。

プロポーショナル変形をオンにすると、選択した頂点だけでなくその周辺も一緒に移動するので大きく形が崩れることがありません。 プロポーショナル変形の「範囲」はマウスホイールで調整します。

※ プロポーショナル変形は O キーによる「有効化」の他に Alt + O キーで切り替える「接続」などもあります。 詳しくは「【Blender】メッシュを引き延ばす機能【プロポーショナル編集モード】」を参照してみてください。

その他、左右対称に変形させたい場合はオプションの「X ミラー」をチェックしておくと便利ですが、服の場合は必ずしも左右対称になっているとは限らないので上手に使い分けましょう。

下記はプロポーショナル編集を使って、ブラウスの形を修正したものです。

重要: シェイプキーがある場合は影響をチェック

今回のブラウスには第一ボタンを開閉するシェイプキーがありました。 編集モードでは「Basis」を編集したのですが、それ以外のシェイプキーへの影響をチェックしておきます。

シェイプキーの値を上げて変形をチェックしてみると、Basis で変形した部分の影響が出てる場合があります。 今回は上記のように、第一ボタンの周辺( 襟 ) 以外の場所で変形が見られます。 これを修正したいと思います。

全てのシェイプキーをクリアした状態でシェイプキーの「Basis」を選択して、編集モードで修正したい部分の頂点を選択します。

今回は C キーでサークル選択モードにして、少し広めに頂点を選択しました。

この状態で [頂点]→[シェイプに反映] を選択すると、現在の頂点の位置を全てのシェイプに反映することができます。

襟以外の部分は修正され、基本形と同じ状態になりました

修正後、シェイプキーを動かして確認します。


ここまでのまとめ

  • オブジェクトモードで大体のサイズ・位置を合わせる
  • 編集モードで調整する
  • 編集モードで編集するときはシェイプキーの有無を確認する
  • シェイプキーがある場合は必ず「Basis」を編集する
  • 編集後その他のシェイプキーに影響が出た場合は修正する

今回はブラウスのみを修正しましたが、同様にスカートも修正します。

作業4:BlenderからエクスポートしてDAZ Studioへインポートする

服の変形が終わったので、DAZ Studio 用にエクスポートしますが、その前にオブジェクトの原点を確認しておく必要があります。

オブジェクトモードで服を選択したときに、服オブジェクトの原点がワールドの原点と同じ位置にある必要があります。 服を変形させるとき、はじめにオブジェクトモードで移動、あるいは回転を行った場合、この原点が下記のようにずれてしまいます。

原点がずれている例

このような場合はワールドの原点の位置に、服オブジェクトの原点を移動させる必要があります。 やり方は簡単で、まず Shift + C キーで 3D カーソルをワールド原点に移動します。

その状態で [オブジェクト]→[原点を設定]→[原点を3Dカーソルに移動]を選択します。 これで服オブジェクトの原点がワールドの原点に移動します。

これでエクスポートする準備ができました。 服を選択した状態で、[ファイル]→[エクスポート]→[Wavefront(.obj)]から書き出します。

下記のようなウインドウが開くので、内容の「選択物のみ」にチェックを入れます。

トランスフォームは「-Zが前方」「Yが上」になっているのを確認します。 また今回はジオメトリにある「モディファイアーを使用」のチェックを外します。 最後に「OBJをエクスポート」ボタンを押します。

今回のブラウスの場合、ボタンもあるのですが、ボタンは別オブジェクトなので後ほど別途エクスポートします。 現時点ではブラウス本体とスカートの二つをエクスポートします。

次に DAZ Studio を起動して、ガイドに使ったフィギアと同じものをシーンに配置しておきます。

[File]→[Import] から、Blender でエクスポートした服をインポートします。 下記のような OBJ Import Options ウインドウが開くので Scale と Axis Conversion を下記のように設定します。

Scale 10000%
Axis Conversion 左から X、Y、Z

すると上記のようにフィギアと同じサイズで服がインポートされました。 上記はブラウスとスカートのふたつをインポートした状態です。

ここまでのまとめ

  • Blender からエクスポートする前に原点の位置をワールド原点にする
  • エクスポートするときは「選択物のみ」、トランスフォームは「-Zが前方」「Yが上」、「モディファイアーを使用」のチェックを外す
  • DAZ Studio へのインポートは [File]→[Import]
  • Scale は 10000%、座標軸は左から X、Y、Z

作業5:Transfer Utility で服にボーンとウェイトを転送する

服をインポートしただけではただの置物状態ですから、服にボーンを入れたりウェイトを塗るといった作業をする必要があります。 ただ DAZ Studio には Transfer Utility という機能があって、これを使えば自動で全部やってくれます。

まずは [Edit] → [Figure] → [Transfer Utility] で Transfer Utility を開きます。

Source: Scene Item フィギアを指定
Item Shape Current
Target: Scene Item 服を指定
Item Shape Default
Reverse Source Shape From Target チェックを入れる
Add Smoothing Modifier チェックを入れる
Content Type お好みでチェックをいれ、服の種類を設定する。今回はブラウスなので「Follower/Wardrobe/Shirt」を設定しましたが、設定しなくても服としてきちんと機能します

上記のように設定したら、最後に Accept ボタンを押します。 するとフィギアから服へボーンが転送され、自動的にウェイトも塗られます。

フィギアにポーズを取らせて、服の動きをチェックしてみましょう。

ポーズに合わせて服が変形するのが確認できます。 これで服のフィギア化はできました。

ただし自動ウェイト、自動 JCM のため、きれいに変形しない場合も多々あります。 特に脇、股間などはきれいに変形してくれないことが多いです。 その修正方法は後ほど説明します。

またスカートの場合は dForce にしてしまった方が楽だと思います。 やり方は過去記事「DAZ Studio:続・普通のスカートをdForceスカートに変更する」に書いたことがあるので参考にしてみてください。


続いて FBM を修正します。 FBM というのはオブジェクトの全体のシェイプを修正するためのモーフです( F… Body Morph の略だったと思うんですけど忘れました )。

今回使用した Vivy というフィギアの場合は、比較的服のシェイプは歪んでいませんが、フィギアによってはシェイプに歪みが生じます。

特に胸の下辺りが歪むことが多いです。 こういった歪みを修正するのが FBM です。

FBM の自体は通常非表示 ( 隠しプロパティ ) になっているので、これを表示させることからはじめます。

オプションメニューをクリックして「Show Hiiden Properties」にチェックを入れます。 すると下記の図のように隠されていたプロパティが表示されるようになり、「Actor/Full Body/People/Real World」 の中に 「FBMxxx」( xxx はフィギア名 ) というモーフを見つけることができます。

今回は Vivy というフィギアを使っているので「FBMVivy」というモーフがあるのがわかります。 このモーフ名を覚えておきます。 またこのモーフがある階層 ( 今回の例では Actor/Full body/People/Real World ) も覚えておきます。

次に [Edit]→[Figure]→[Morph Loader Pro] を選択して Morph Loader Pro を起動します。

下記のようなウインドウが開くので、まずは Scale を 10000%、Axis Conversion を左から X、Y、Z にします。 これは OBJ をインポートしたときと同じです。

Choose Morph Files .. をクリックして、インポートした服と同じ obj ファイルを 選択します。 そして下記のように設定します。

Name FBM の名前 ( 先程覚えたもの。今回は FBMVivy )
Property Groupe FBM のある階層 ( 先程覚えたもの。今回は Actor/Full body/People/Real World )
Reverse Deformations Yes
Overwrite Existing Deltas Only

最後に Accept ボタンを押します。 すると FBM が、Blender からエクスポートしたままの状態の歪みのないシェイプに置き換わります。


ついでなのでポリゴンの解像度も高解像度にしておきます。

シーンペインから服を選択しておいて、[Edit]→[Figure]→[Geometry]→[Convert to SubD…] を選択します。 Subdivision Surface 化 ( ポリゴンの高解像度化 ) されるので Parameters ペインの Mesh Resolution からポリゴンの細分化を調整することができます。

ここまでのまとめ

  • Transfer Utility で服をフィギア化する
  • Morph Loader Pro で FBM を修正する
  • Convert to SubD で高解像度化する

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作業6:サーフェス ( マテリアル ) を設定する

続いてサーフェス ( マテリアル ) を設定して、テクスチャなどを反映させていきます。 今回はスカートを使って説明していきます。 Scene ペインでスカート選択した状態で、Surface ペインを開きます。

まずはスカートのディフーズテクスチャを設定してみます。 下図のように Base Color の ▼ アイコンをクリックして「Browse…」を選択します。 ファイルを選択するウインドウが開くので、テクスチャファイルを選択します。

下記のようにスカートにテクスチャが反映されます。

同じ用にノーマルマップも適用させます。 その他の質感はお好みで調整してください。

ブラウスも同様にしてテクスチャを設定します。

サーフェスについては人それぞれ好みもあるので、細かい調整はここでは割愛します。

ここまでのまとめ

  • Surface ペインでテクスチャを設定する

作業7:ブラウスにボタンをつける

ブラウスにはボタンがあるのですが、別オブジェクトになっているので改めて Blender からエクスポートして DAZ Studio にインポートする必要があります。

ボタンをエクスポートする手順

まずは Blender からエクスポートの仕方から見ていきます。 ボタンは全部をエクスポートする必要はなく、ひとつだけエクスポートします。 ただし位置はワールドの原点に配置した状態でエクスポートしたいと思います。 その方がいろいろ便利な場合が多いので …。 なのでボタンの複製を作ってからワールドの原点に移動させることにします。

一番上のボタンをひとつ選択して、Shift + D キーを押して複製します。 この複製したボタンはブラウスにペアレント ( 親子付け ) されているので、Alt + P キーから「親子関係をクリア」を選択して、親子関係を解除しフリーにします。

親子関係を解除したボタンは、位置がずれると思います(拡大されたブラウスとの関係が解除されるため)。 また親子関係を解除すると、拡縮等の変形も解除されるので編集前のきれいな円形の形になります。

ボタンをワールドの原点に移動させるために、まずは Shift + C キーを押して 3Dカーソルをワールド原点に設定します。

そのまま Shift + S キーを押して「選択物→カーソル」を選択すると、3Dカーソルの位置にボタンが配置されます。

あとは回転を 0°にして、地面に対して水平に配置します。 仮に水平にならずに傾いていても DAZ Studio 側で調整できるので問題はありません。 このワールドの原点に配置したボタンを、服をエクスポートした手順と同様にして書き出します。

続いて DAZ Studio の方で、服をインポートしたときと同様にしてボタンをインポートします。

小さくて見にくいですが、上記のようにワールドの原点の位置にボタンがインポートされました。 次はボタンをブラウスに付ける作業に移ります。

Rigit Follow Node でブラウスにボタンを付ける

ブラウスにボタンを付けには、Rigit Follow Node を使うのが便利です。 Rigit Follow Node を使うとボタンのような剛体をポリゴンの頂点に追従 ( Follow ) させることが簡単にできます。 それでは具体的な作業を見ていきます。

まずは Tool Settings ペインから Geometry Editor を選択します。 Tool Settings ペインがないという人は、下記の図のように右クリックから [Add Pane (Tab)]→[Tool Settings] を選択して追加してください。

Scene ペインではブラウスを選択しておき、Tool Settings ペイン では Geometry Editor を選択します。

そのままボタンを付けたい位置のメッシュを、上図のように選択 ( 選択されている部分は黄色く表示されます ) します。 選択したら下記の図のように右クリック→[Geometry Assignment]→[Create Rigid Follow Node from Selected…]を選択します。

ノードに名前を付ける小さなウインドウが表示されるので、「Button1」のような名前をつけます。

すると設定した位置に Rigid Follow Node が追加されます。 Rigid Follow Node は上図のように座標軸として表示されます。 そのままだと向きが水平なので、ブラウスの傾斜に合わせて少し回転させておきます。 次にインポートしておいたボタンを、Rigid Follow Node の位置に移動してきます。

移動したらボタンを Scene ペインで Rigid Follow Node の子に設定します。

これで Rigid Follow Node を介して、ブラウスにボタンをペアレントすることができました。 ボタン自体はブラウスのウェイトの影響は受けないので、ウェイトによって伸び縮して楕円形になってしまう … というようなことにもなりません。

続いて二つ目のボタンを設置します。 まずは最初のボタンのときとおなじ様に Geometry Editor でボタンをつけたい位置のポリゴンを選択し、Rigid Follow Node を追加します。

Rigid Follow Node を追加したら、Parameters ペインの Instancing を開きます。

Instance Target が None になっているので、ここに Button を設定してあげます。 下記のような小さなウインドウが開くので、Button1 ( 最初に作った Rigid Follow Node ) に親子付けしてあるボタンオブジェクトを選択します。

すると下記の図のように 2番目の Rigid Follow Node の位置にボタンのインスタンスが表示されます。

あとはボタンの向きや位置の微調整をすれば OK です。 同じ要領でボタンを増やしていきましょう。

ボタンのマテリアルは一番上のボタンにだけ設定してあげると、二番目以降のボタン ( インスタンス ) にも反映されます。

ここまでのまとめ

  • ワールド原点にボタンを配置してエクスポートする
  • ボタンを付けたい位置に Rigit Follow Node を設定する
  • インポートしたボタンを Rigit Follow Node の子としてペアレントする
  • ふたつめ以降のボタンはインスタンスで作成する

作業8:ブラウスの第一ボダン開閉モーフを作成する

ブラウスは Blender 上ではシェイプキーを使って、第一ボタンを開閉することができました。 このシェイプキーを DAZ Studio に移植して、DAZ Studio 上でもモーフとして使用できるようにしたいと思います。

Blender では OBJ としてエクスポートするとシェイプキーの Basis の形状で書き出されるため、そのままでは第一ボタンを開いた状態のオブジェクトを書き出せません。 なのでまずはブラウスそのものを複製してしまいます。 オブジェクトの複製は Shift + D/kbd> キーです。

複製したらもとのオブジェクトは非表示にして、複製した方のオブジェクトのシェイプキーを削除していきます。 削除するのは一番上にある「Basis」シェイプキーです。

シェイプキーを削除するには、削除したいシェイプキーを選択しておいて「-」アイコンをクリックします。 一番上にあった Basis シェイプキーを削除すると、二番目にあったシェイプキーが繰り上がって基本形になります。

その結果、第一ボタンを開いた状態が基本形となります。 この状態でブラウスを OBJ としてエクスポートします。

ここからは DAZ Studio で作業します。 Scene ペインでブラウスを選択しておいて、[Edit]→[Figure]→[Morph Loader Pro] を選択します。 FBM を修正したときと同様の作業をします。

下記のような Morph Loader Pro のウインドウが開くので、まずは Scale を 10000%、Axis Conversion を左から X、Y、Z にします。 Choose Morph Files .. をクリックして、先程エクスポートした OBJ を選択します。

Name モーフに名前をつけます。ここでは 1stButtonOpen という名前にしました
Reverse Deformation Yes

上記のように設定したら Accept を押します。 モーフの作成に成功すると下記のようなウインドウが表示されます。

Parametars ペインの Morphs を開くと、作成したモーフが表示されます。

スライダーを 100% にすると、ブラウスの第一ボタンが開くのが確認できます。

ここまでのまとめ

  • Blender でシェイプキーを適用した形状の OBJ をエクスポートする
  • Morph Loader Pro でモーフとして読み込む

ここまでの作業で一応完成です。 お疲れ様でした。

以降の作業はクオリティを上げるための作業になりますので、こだわる方は挑戦してみてください。

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作業9:JCMで関節の変形のクオリティを上げる

JCM ( Joint Controlled Morphs ) というのは関節のボーンに連動して自動で動くモーフです。 DAZ Studio ではこの JCM を使って、関節の動きによる変形をコントロールしています。

JCM は関節を動かすと自動で作られます ( 初回関節を動かしたときに自動的に作られる ) が、自動で作成されるため思ったような形になっていないことも多々あります。

この JCM を Blender などのモデリングツールで修正することでクオリティを上げることができます。

ひとつの関節には X軸、Y軸、Z軸の 3軸ある上、肩、上腕、首など関節の数も多いです。 すべての関節の JCM を修正するのはとても手間がかかりますので、大きく破綻している部分だけでもいいと思います。

それでは作業手順を見ていきます。 まずは肩の関節からやってみます。 DAZ Studio でフィギアの左肩をあげてみます。

ブラウスを選択して Parameters ペインの Hidden/Corrective/Base の中をみると「pJCMCollarUp_55_L」という JCM モーフができています。

55 というのは肩の角度で、L というのは左の L です。 このモーフは左肩を 55°あげたときに 100% になるように設定されているのですが、名前からそれらが分かるようになっています。

それではこの pJCMCollarUp_55_L モーフを修正していきます。 修正する方法は大きく分けてふたつあります。

  1. ひとつ目は「肩をあげた状態のブラウス」を DAZ Studio からエクスポートして、Blender で形を修正してから DAZ Studio に反映させる手順
  2. ふたつ目は Blender でオリジナルのブラウスを変形させて肩をあげたポーズを作り、DAZ Studio に反映させる手順

今回はふたつ目の手順で作業していきます。 まずは肩を上げた状態のフィギアをエクスポートします。 これはガイドとして使用します。

エクスポートしたフィギアを Blender にインポートします。 エクスポート、インポートの仕方は「作業1: DAZ Studioからフィギアをエクスポート」「作業2:フィギアをBlender にインポートする」で紹介したとおりなので、ここでは割愛します。

フィギアをガイドに、編集モードでブラウスを変形させます。

重要:モーフ用にポリゴンを編集するときは「一度頂点や面を削除して貼り直す」といった手法は使えません。 また新たに頂点を追加することもできません。 DAZ Studio ではオリジナルのオブジェクトと頂点数が違ったり、頂点の順序が変わってしまうとモーフとして読み込むことができなくなるからです。 なのであくまで「変形」という範囲で編集するようにします。

ポーズに合わせて修正したもの

変形させたブラウスを OBJ としてエクスポートします。 エクスポートの仕方は「作業4:Blender からエクスポートして DAZ Studio へインポートする」で紹介したとおりなのでここでは割愛します。

DAZ Studio に戻り、エクスポートした OBJ を JCM モーフとして読み込みます。 手順としては FBM を修正したときと同じになります。

Scene ペインでブラウスを選択した状態で、[Edit]→[Figure]→[Morph Loader Pro] を選択します。

Morph Loader Pro の設定は下記のようにします。

Scale 10000%
Axis Conversion 左から X、Y、Zの順
Name JCM の名前 ( 今回は pJCMCollarUp_55_L )
Property Group JCM のある階層 ( 今回は Hidden/Correctives/Base )
Reverse Deformations Yes
Overwrite Existing Deltas Only

上記のように設定したら最後に Accept を押します。

JCM が上書きされ、ブラウスの形が修正されました。 今回は左の肩を上げたときの JCM のみ修正しました。 他にも気になる関節があれば、同様の手順で修正します。


とても長い記事になってしまいましたがこれで作業は終了です。 お疲れさまでした。 最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回の記事で使用した「3Dモデル JKブラウス・スカート・リボン 3点セット」は Booth にて販売中なので、気に入っていただけたら是非お買いお求めください。 よろしくお願いします。

3Dモデル JKブラウス・スカート・リボン 3点セット - nori7023 - BOOTH

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