作業9:JCMで関節の変形のクオリティを上げる
JCM ( Joint Controlled Morphs ) というのは関節のボーンに連動して自動で動くモーフです。 DAZ Studio ではこの JCM を使って、関節の動きによる変形をコントロールしています。
JCM は関節を動かすと自動で作られます ( 初回関節を動かしたときに自動的に作られる ) が、自動で作成されるため思ったような形になっていないことも多々あります。
この JCM を Blender などのモデリングツールで修正することでクオリティを上げることができます。
ひとつの関節には X軸、Y軸、Z軸の 3軸ある上、肩、上腕、首など関節の数も多いです。 すべての関節の JCM を修正するのはとても手間がかかりますので、大きく破綻している部分だけでもいいと思います。
それでは作業手順を見ていきます。 まずは肩の関節からやってみます。 DAZ Studio でフィギアの左肩をあげてみます。
ブラウスを選択して Parameters ペインの Hidden/Corrective/Base の中をみると「pJCMCollarUp_55_L」という JCM モーフができています。
55 というのは肩の角度で、L というのは左の L です。 このモーフは左肩を 55°あげたときに 100% になるように設定されているのですが、名前からそれらが分かるようになっています。
それではこの pJCMCollarUp_55_L モーフを修正していきます。 修正する方法は大きく分けてふたつあります。
- ひとつ目は「肩をあげた状態のブラウス」を DAZ Studio からエクスポートして、Blender で形を修正してから DAZ Studio に反映させる手順
- ふたつ目は Blender でオリジナルのブラウスを変形させて肩をあげたポーズを作り、DAZ Studio に反映させる手順
今回はふたつ目の手順で作業していきます。 まずは肩を上げた状態のフィギアをエクスポートします。 これはガイドとして使用します。
エクスポートしたフィギアを Blender にインポートします。 エクスポート、インポートの仕方は「作業1: DAZ Studioからフィギアをエクスポート」「作業2:フィギアをBlender にインポートする」で紹介したとおりなので、ここでは割愛します。
フィギアをガイドに、編集モードでブラウスを変形させます。
重要:モーフ用にポリゴンを編集するときは「一度頂点や面を削除して貼り直す」といった手法は使えません。 また新たに頂点を追加することもできません。 DAZ Studio ではオリジナルのオブジェクトと頂点数が違ったり、頂点の順序が変わってしまうとモーフとして読み込むことができなくなるからです。 なのであくまで「変形」という範囲で編集するようにします。
変形させたブラウスを OBJ としてエクスポートします。 エクスポートの仕方は「作業4:Blender からエクスポートして DAZ Studio へインポートする」で紹介したとおりなのでここでは割愛します。
DAZ Studio に戻り、エクスポートした OBJ を JCM モーフとして読み込みます。 手順としては FBM を修正したときと同じになります。
Scene ペインでブラウスを選択した状態で、[Edit]→[Figure]→[Morph Loader Pro] を選択します。
Morph Loader Pro の設定は下記のようにします。
Scale | 10000% |
Axis Conversion | 左から X、Y、Zの順 |
Name | JCM の名前 ( 今回は pJCMCollarUp_55_L ) |
Property Group | JCM のある階層 ( 今回は Hidden/Correctives/Base ) |
Reverse Deformations | Yes |
Overwrite Existing | Deltas Only |
上記のように設定したら最後に Accept を押します。
JCM が上書きされ、ブラウスの形が修正されました。 今回は左の肩を上げたときの JCM のみ修正しました。 他にも気になる関節があれば、同様の手順で修正します。
とても長い記事になってしまいましたがこれで作業は終了です。 お疲れさまでした。 最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事で使用した「3Dモデル JKブラウス・スカート・リボン 3点セット」は Booth にて販売中なので、気に入っていただけたら是非お買いお求めください。 よろしくお願いします。
otさんからのコメント
MarvelousDesignerで服は作ったもののDAZStudio側でうまくフィットできない…と頭を悩ませていたので、
TransferUtilityの解説が大変有り難かったです。
素晴らしい解説をありがとうございます。
Noriさんからのコメント
こちらこそブログを読んでいただきありがとうございました!
キナコさんからのコメント
ブースでセーラー服を購入して上手く着用できず困っていたら、まさかの作者様のページに辿り着いてしまいました。
すばらしい商品をありがとうございます。