Blender のヘアーパーティクルをベースに DAZ 用に髪を作ってみたので、作業工程を記事にしておきたいと思います。

作業の大まかな流れ

  • ベースフィギアをDAZ からエクスポートしてBlenderにインポート
  • ヘアパーティクルを使ってフィギアに髪を生やす
  • ヘアペーティクルをメッシュ化する
  • メッシュ化したパーティクルをカーブにする
  • カーブから再度メッシュ化する
  • UV を展開・編集する
  • Blender 上でマテリアルを設定する
  • Blender からエクスポートしてDAZにインポートする
  • インポートした髪にマテリアルを設定する
  • 髪をフィギアにフィットさせる
  • 髪をアセット化する

全体の作業工程は上記のようになります。 この記事では「ヘアパーティクルを使ってフィギアに髪を生やす」までを説明します。

DAZ から Genesis 8 をエクスポートする

まず髪を作成するためのガイド兼ベースとしてフィギアを DAZ からエクスポートしておきます。 今回は Genesis 8 Female をベースにして作成していきます。

Genesis 8 をエクスポート

Genesis 8 をシーンに読み込んで Scene ペインで選択しておき、 [ File ] → [ Export ] から Wavefront Object ( *.obj ) として書き出します。

下記のような OBJ Export Options ウインドウが開くので、ここでスケールと座標を指定します。 このウインドウ内には Blender 用のプリセット ( スケール 2%、座標軸 X、Z、Y ) が用意されています。 今回は Blender 用のプリセットを選択したのち、座標軸を X、Y、Z の順に変更 ( Y と Z を入れ替え) してエクスポートします 。 Scale はプリセットの 2% のままで OK です。

スケール 2% 座標軸 Y X Z

フィギアを Blender にインポート

次に Blender を起動し [ ファイル ] → [ インポート ] から Wavefront ( .obj ) で、先ほどエクスポートしたフィギアをインポートします。

頂点の順番を維持

インポートする際「頂点の順番を維持」を選択しておきます。 これを選択しておくとフィギアのメッシュが 1 階層で読み込まれます。 ガイドとして使うだけですし、多階層になるとごちゃごちゃしてしまうのでこの方がいいと思います。 あとは座標軸を「-Z が前方」「Y が上」にします。

ヘアーパーティクルで髪を作っていく

フィギアをインポートしたらヘアーパーティクルを使って髪を作っていきます。 まず編集モードでフィギアの頭部の頂点を選択して、頂点グループとして登録します。

頂点グループを作成

選択した範囲に髪を生やすのですが、ヘアパーティクルは選択範囲外にも植えることができるのでこの選択範囲は適当で OK です。

続いてヘアパーティクルを設定します。 「新規」ボタンを押してパーティクルを作成します。

パーティクルを追加

パーティクルタブからタイプ「ヘアー」を選択して、オブジェクトモードで表示を確認します。

タイプをヘアーにする

すると上記のように全身からヘアパーティクルが発生しています。 そこでパーティクルの発生源を先程作った頂点グループに設定します。 「頂点グループ」の「密度」で先程つくった頂点グループを選択すると、頭部のみからパーティクルが発生するようになります。

密度に頂点グループを割り当てる

「放射」の部分で髪の数や長さを設定できます。 下記は髪の数を 1000 から 100 に減らした場合です。

放射で数やヘアー長を設定する

この放射内の項目はヘアーパーティクルを「パーティクル編集モード」で一度でも編集すると再設定はできません。 ただ前述したように髪はあとからいくらでも植えられますし、長さも個々に調整可能です。 あくまで「放射」部分が後から編集不可になるだけです。

またここで生やす髪は、髪そのものとして捉えるのではなく、髪の長さや方向を決めるガイドだと捉えたほうがいいと思います。 このガイドの周りに「子」の髪を表示させることができ、その「子」の髪で全体のボリュームや流れを表現していきます。 なので放射部分で設定する親となる髪は「ガイドヘアー」と表現することにします。

ヘアーパーティクル

上記は試しに「子」を100本に設定してみたものです。 ひとつのガイドヘアーの周りに 100本の髪が生えます。 ガイドヘアーの周りのどれくらいの領域に子を発生させるかは「半径」で調整することができます。 上記は半径を 0.050 に設定しています。

現状では髪が直線状になっていますので、流れを作っていきましょう。 髪の流れや長さなどは「パーティクル編集モード」で行います。

パーティクル編集モード

「パーティクル編集モード」に切り替え、画面左側にあるいろいろなブラシを使ってガイドヘアを編集します。 ここではガイドヘアを一本だけにして編集してみました。

「くし」ブラシを使うと髪の流れを作ることができます。 慣れるまではなかなか難しいのですが、コツをつかめばすぐに慣れると思います。

1. 真上から方向を決めてなぞる

真上からブラシでなぞる

テンキーの 7 キーを押して真上からの視点に変更して、くしでガイドヘアーをなぞります。 ここでおおまかに方向を決めます。 今回はフィギアの前方向に流してみます。

2. 正面から見た流れを整える

制御点を押す

次にテンキーの 1 キーを押して正面からの視点に切り替えます。 今度は髪をなぞるのではなく、髪の途中にある制御点を横から押すようなイメージで流れを作っていきます。

4. 横から見た流れを整える

制御点を押す

最後にテンキーの 3 キー を押して横からの視点に変え流れを整えます。

制御点は W キーで表示されるメニューから「細分化」や「分割数変更」で増やすことができます。

分割数変更・細分化

パーティクルモードで子の髪を表示するにはオプションの「子」にチェックをいれます。

子をなめらかに表示する

また画面右の「レンダー」にある「Bスプライン」にチェックを入れると子の髪がなめらかになります ( パーティクル編集モードでの表示 )。 「表示」にある「ステップ数」を大きくしていけば、オブジェクトモードでの表示もなめらかになります。 画面左にある描画の「パスステップ」も数値をあげるとなめらかになります。

画面右の「子」にはいろいろなパラメータがあり、子の髪を編集することができます。 それぞれの値をいじれば見た目がかわるのでいろいろ試してみてください。

子に関するパラメーター

その他のブラシ

ブラシにはくし以外にも下記のようなものがあります。

スムーズブラシ ヘアーをまっすぐにする
追加ブラシ ガイドヘアーを追加する
長さブラシ ヘアーを伸長・収縮させる
パフブラシ ヘアーを立ち上げる
カットブラシ ヘアーをカットする
ウェイトブラシ ウェイトをつける

生え際・髪の根元はパフブラシを使って立ち上げると表現しやすかったです。 髪の根元を細分化して制御点を増やしてからパフブラシで持ち上げました。

髪の根元をパフで持ち上げる

左右対称の部分はミラーで作成

左右対称な髪を作りたいときはミラーを使うと便利です。

左右対称の髪はミラーで編集

パーティクルメニューから「ミラー」を選ぶと左右対称の髪が表示されます。 画面左のツール内の「Xミラー」にチェックを入れてから髪を編集すると、リアルタイムで反対側の髪にも反映されます。


今回は下記のように後ろ髪部分と前髪部分と分けてつくりました。

後ろ髪のガイドヘアー
後ろ髪ガイドヘアー
後ろ髪のヘアパーティクル
子も表示した場合
前髪のガイドヘアー
前髪ガイドヘアー
前髪のヘアーパーティクル
子も表示した場合
オブジェクトモードでの表示 オブジェクトモードでの表示
オブジェクトモードでの表示

髪一本一本が細いので地肌が見えていますが、髪は最終的には下記のように板状のメッシュにしていくので問題ありません。

ヘアーパーティクルをメッシュにしたもの

次回はヘアーパーティクルをメッシュに加工していきたいと思います。