使用バージョン:Blender 2.81

今までヘアーパーティクルで作った髪を使っていたんですけど、アニメーションのシミュレーションが重かったり、衝突判定が微妙なこともあり、ポリゴンメッシュでも髪を作ることにしました。 今回髪型を作るうえで使ったのは、カーブで髪の房をつくり最後にポリゴンメッシュ化するというものです。

この方法は比較的短時間で形にできるし、UV 展開も不要なので個人的にはおすすめです。 よく知られている方法だと思いますが、作業するときに気をつけたいことも多々あるので、自分なりに工程をまとめておきたいと思います。

目次

二種類のカーブで髪の房をつくる

まずは二種類のカーブを使って、髪の房を作っていきたいと思います。

カーブで作った髪の房

Shift + A キーから、「カーブ → パス」でひとつ目のカーブを、「カーブ → 円」で二つ目のカーブを追加します。

二つのカーブを追加

ひとつ目のパスカーブ ( 直線のほう ) で髪の房の全体をつくっていき、二つ目の円カーブでは髪の房の断面の形を作っていきます。

まず髪の房となるパスカーブの方を選択して、カーブのオブジェクトデータプロパティを開きます ( 下図参照 )。 「ジオメトリ」内の「ベベル」「オブジェクト」に二つ目のカーブである「円」を割り当てます。

カーブのベベルオブジェクトに円カーブを割り当て

するとパスカーブの断面の形状に、割り当てた円カーブの形が反映され、下図のような円柱のような形になります。

パスカーブが円柱状になる

この円 … つまり断面の形を編集して、髪の房らしい形を作ります。 円カーブを選択して編集モードで形を整えます。

円カーブを編集するとパスカーブの断面が変化します

カーブの頂点から出ているハンドルには種類があり、W キーを押すと表示されるメニューの「ハンドルタイプ設定」で変更することができます。 「自動」にするとスムーズなポイント、「ベクター」にすると角のあるポイントを作ることができるので、円を髪っぽい形に編集します。

スムーズポイントとコーナーポイント

また下図のようにセグメントの一部 ( カーブの一部 ) を削除した形にすると、「板状」の髪にすることができます。

円カーブのセグメントの一部を削除
パスカーブの断面が板状になります

断面の形をつくったら、髪の房の形を整えていきます。 パスカーブの頂点を選択して Alt + S キーを押してドラッグすると、髪を細くしたり太くしたり調整できます。

Alt + Sキーで髪の太さを調整

ひねりを加えたい場合は Ctrl + T キーを押してドラッグします。

Ctrl+Tキーで髪のひねりを調整

また髪の質感は最終的にテクスチャを使って表現するので、パスカーブの「ジオメトリ」の「テクスチャ空間」で「マッピングにUVを使用」にチェックをいれておきます。

「マッピングにUVを使用」にチェックを入れる

あとはこの髪の房を Shift + D キーで複製しながら、髪型全体を作っていきます。

カーブで作成した髪型の一例
カーブで作った髪型の一例

左右対称部分を作る

左右対称部分をつくるときはミラーモディファイアを使います。

ミラーモディファイアで左右対称

ただしミラーモディファイアはカーブのままでは適用することができません ( メッシュ化すれば可能 )。

ミラー後にカーブのまま編集したい場合は、Shift + D キーで複製したのち、オブジェクトメニューのミラー ( Ctrl + M キー) で反転します。

複製後にミラーで反転

こうすれば反転後もカーブとして編集することができます。

髪の房をつくるときに留意しておきたいこと

髪の房の形をつくるとき、カーブのポイントを移動することになるのですが、ポイントを大きく移動すると UV マップも伸びるということを意識しておきます。

カーブのポイント間が広いとUVが伸びる

また W キーで頂点間を細分化すると UV も細分化されます。

細分化するとUVも細分化される

ただし整形したあとで細分化すると、せっかく整形した部分の形が変わってしまいます ( 上記の図ではあとから細分化した部分が細くなっています )。

髪の形状によってはカーブのポイントを細分化して増やさなければならないこともあるのですが、その際は部分的に細分化するのではなく、全体的に細分化した方がポリゴン化したときにキレイになります。

部分的に細分化した例

部分的に細分化すると、そこだけポリゴンが細かくなってしまいます。

※ポリゴンメッシュ化する方法は後ほど説明します

毛先の透過テクスチャを作る

モデリング中に毛先の様子を見たい場合もあると思うので、ノードを使って毛先用の透過テクスチャを作っておくと作業がはかどります。

カーブで作った髪の房

作り方は簡単で、ボロノイテクスチャノイズテクスチャを拡大縮小して髪の縦方向のラインをつくり、グラデーションテクスチャと合わせてマスクを作ります。


今回マスク用のノードは、ボロノイテクスチャをベースにして作りました。 まずは髪の毛を表現する縦縞を、テクスチャの拡大縮小を調整して作ります ( ノイズテクスチャでも可 ) 。

ボロノイテクスチャで髪の縦縞を表現
ボロノイテクスチャで髪の縦縞を表現(ノード)

次にグラデーションテクスチャを合わせて、毛先部分を作ります。

グラデーションテクスチャで毛先を表現
グラデーションテクスチャで毛先を表現(ノード)

あとは透過シェーダーと組み合わせれば、毛先のマスクのできあがりです。

透過シェーダーでマスクでクリッピング
透過シェーダーでマスクでクリッピング(ノード)

カーブのポリゴンメッシュ化と解像度

最後にカーブの髪をポリゴンメッシュに変換します。 カーブをポリゴンメッシュに変換するには、オブジェクトモードでメニューの「オブジェクト → 変換 → カーブ/メタ/サーフェス/テキストからメッシュ」を選択するか、W キーから「メッシュに変換」でメッシュに変換することができます。

ただしそのままカーブをメッシュに変換すると、頂点数がとても多くなってしまします。

頂点数が多すぎる

そこで変換する前にカーブの解像度を調整します。 カーブには解像度があり、デフォルトでは「12」になっています。 「シェイプ」の中にある「プレビュー解像度U」というのがそれです。

プレビュー解像度Uの値

これはカーブのポイントとポイントの間の解像度で、カーブの編集モードでは法線の数で確認することができます。

カーブの解像度は法線で表されています

カーブをメッシュ化するときは、各ポイントと法線が表示されている箇所が頂点になります。 なのでデフォルトの解像度「12」では、頂点数がとても多くなってしまいます。

髪の房は二種類のカーブを使ってつくっているので、両方のカーブ ( パスカーブと円カーブ ) の解像度を調整して頂点の数を調整します。


下図はパスカーブの解像度を「4」にし、円カーブの解像度を「2」にしてからメッシュに変換したものです。 ずいぶんと頂点数が少なくなりました。

解像度を下げてからメッシュに変換

解像度を落とすと当然ディテールはなくなりますが、サブディビジョンモディファイア辺のグリース辺のシャープなどを使って調整します。

サブディビジョンサーフェスの使用前と使用後
辺のグリース
「辺のグリース」はサブディビジョンサーフェスによる丸みのウェイトを調整することができます。辺を選択して Ctrl + E キーから選択します。

カーブを使って作成した髪型
今回カーブで作成した髪型

今回の記事はここまでになります。 最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考にさせていただいたページ