使用バージョン:Blender 2.81
前回の記事では「Blender 服の折り目を潰さずにクロスシミュレーションする」ではクロスシミュレーションを使って布を揺らしてみましたが、今回は「ソフトボディ」と「メッシュ変形」モディファイアを使って揺れものを作ってみました。
この動画ではリボン、ブラウスの袖と襟にこの方法を使っています ( 髪はヘアーパーティクルのヘアダイナミクスで揺らしています )。
※この方法は Easy Realtime Cloth physics – YouTube で紹介されているものです。
さっそく作り方をみていきたいと思います。
メッシュ変形モディファイアとは?
揺れものを作る前に「メッシュ変形」モディファイアについて簡単に紹介しておきます。 Blender ではオブジェクトを他のメッシュを利用して変形することができ、代表的なものに「ラティス」モディファイアがあります。
ラティスモディファイアでは、オブジェクトを格子型のメッシュ「ラティス」で囲み、このラティスを変形させるとオブジェクトを変形させることができます。
ラティスに対して「メッシュ変形」は、格子ではなく自由な形のメッシュを使ってオブジェクトを変形させることができるモディファイアです。 複雑な形のオブジェクトでも柔軟に対応できるのが特徴です。
なお変形するために使用するメッシュは、穴の空いていない閉じられたメッシュである必要があります。
この変形用メッシュにソフトボディを追加すれば、「ソフトボディの揺れによってメシュを揺らす」 → 「メッシュの揺れ ( メッシュの物理演算による変形 ) でオブジェクトを揺らす」という工程を経ることで、簡単に揺れものを表現することができます。
オブジェクトを囲むようにメッシュを作成
それでは具体的な作業をしていきます。 まずオブジェクト ( 今回はリボンを使います ) を囲むようにメッシュを作成します。 前述しましたが、このメッシュは完全に閉じている必要があります。
変形用のメッシュは必要以上に細かくする必要はありません。 位置を合わせたら、メッシュの原点をリボンの原点と同じ位置にしておきます。
リボンを移動したときに変形用のメッシュが追従するように、Ctrl + P キーでペアレントします。 今回は「トランスフォームを維持」でペアレントしましたが、アーマチュアを使ってる場合は「ボーン」にペアレントする場合もあります。
ソフトボディ + メッシュ変形
続いて変形用のメッシュにソフトボディモディファイアを追加します。
この状態でアニメーションの再生ボタンを押してシミュレーションすると、メッシュ全体がふわふわと揺れます。
これでは困るので固定する部分を作ります。 固定部分を作るために「頂点グループ」が必要になるので、編集モードやウェイトペイントモードを使って作成します。
下記の図のように「ゴール」の「頂点グループ」に作成した頂点グループを割り当てて、「強さ」の「デフォルト」を「1.000」にし、最小値を 0.7 程度にします ( 高いほど揺れが小さい )。 またセルフコリジョンにチェックを入れます。
シミュレーションすると、頂点グループが固定されるようになりました。 「辺」の「曲げ」の値を調整して揺れ具合、質感を調整します。
続いて変形用メッシュの揺れをリボンに反映させます。 リボンに「メッシュ変形」モディファイアを追加して、「オブジェクト」に変形用のメッシュを割り当てます (下記図参照 )。 頂点グループを作成し、変形させたい部分を限定させることもできます。 最後にバインドを押します。
シミュレーションすると、変形用メッシュに連動してリボンが揺れます。
オブジェクトに直接ソフトボディやクロスシミュレーションを使う場合と比較すると、メッシュ変形を使った場合では下記のようなのメリットがあると思います。
- 変形用メッシュはローポリでいいので動作が軽量
- 直接オブジェクトを変形させるわけではないので、オブジェクトのディテールが維持される
今回はここまでです。 最後まで読んでいただきありがとうございました。